苦い舌と甘い指先
校門を出た所で、誰かに肩を掴まれた。
またアイツか?
反射的にひじ打ちを顔面に打ち込む。手ごたえを感じて一応振り返ってみると。
「あ、なんだ。ミツか」
「なんだじゃねぇ!!見ろ!この悲惨な有様を!」
鼻から血を垂れ流して地面に倒れているミツが居た。
「ワリぃ。反射的に、つい」
「つい、でこんなメに合う俺はどんだけツいてないの!?ねぇ!」
「うるせぇなァ。だから謝ってんじゃん」
「何処がだよ!!」
倒れたままブツブツ文句を言われるのは勘弁。
鼻を押さえていない方の手を掴んで、無理やり立ちあがらせる。
「ほら、コレ使えよ」
「……どうも。…ウキウキカードローン?やっぱり配られてるやつか」
「お前もティッシュは貰っといた方が良いぞ。役に立つ」
「はぁ!?誰のせいでティッシュ使う羽目になったと思ってんのさ!」
まあ…悪いとは思ってるけどさ。素直に肯定なんかできる筈が無い。
ミツが何か言う度に真っ赤に染まっていくティッシュを見つめてため息を吐いた。
「大体アンタが遅いからあたしがあんなめに…」
「あんなめ?」
「学校一の変態男の耳垢があたしのiPodにこびり付いた」
「は?何ソレ夢?」
夢だったらあんたも鼻血なんか出さなくて済んだのにな。全く残念だよ。