ヌードなアタシ
ほどなくバスもやって来て
2人乗り込む。
けっこう混んでいて
アタシ達は出口付近のポールに掴まる。
外は薄暗く、バスの明かりに反射して
ドアの窓ガラスは
鏡のように車内を映した。
『俺、こん位だったら
桜木と並んでも釣り合うのにな…』
卓己くんはガラスに映った自分を見て
つま先立ちをしてみせた。
『あ…アタシ身長あるから…
ずっとコンプレックス。
小学校6年で165センチあったの。
ランドセル背負うの嫌だったな…』
『そうじゃないって!
俺が…もう少し身長欲しいなってさ…
せめて、あと10センチあったら
並んでてもキマルじゃん』
窓に映るアタシ達は
ほぼ、同じくらいの背の高さだった。
『桜木はモデルやってんだろ?
なら、長身OKじゃん』
『あ…奈緒から聞いてた?』
『おぅ、一緒に住んでる
叔母さんの手伝いだってな…』
『うん、そう…家業の手伝い』
笑って答える。
『でもね、最近モデルの仕事
興味出てきたの…
アタシ、頑張っちゃおうかな、なんて』