ヌードなアタシ

また、タオルで目を擦る…
目は熱っぽく、瞼も重い。


『あまり、擦っちゃ駄目よ』


アタシの顔を覗き込む様に
顔を近づけ指で額をこづいた。


『それだけ泣いたら、体内の水分量は
相当少なくなったんじゃない?
水分補給にキッチンに行こっか』


ケイちゃんは明るい声で話しかけ
先に部屋を出た。

アタシもベットから起き上がり
冷蔵庫に向かう。



牛乳をコップに入れてテーブルに座った。


『昨日のお雑煮あるよ、温めるね』


ケイちゃんはガス台の鍋に火をつけ
食器を用意している。


『あのね、今日のオーディションで
面接の人がケイちゃん知ってて…
この業界は狭いですねって言ってたよ』


さっき受けてきたばかりなのに
もう、だいぶ前の事みたいに思える。


『えっ?あら…誰かしら…
広報の部長さんかな。
下請けで撮影入った事あったから…
長澤さん何か言ってた?』


『ううん、特に』


ケイちゃんが大きめのお椀によそった
お雑煮を持ってくる。

三つ葉のいい香り…
昨晩以来の食事。

さすがにお腹がすいたみたいで
しばらく無言で食べていた。


『食欲無かったんだけど…お雑煮美味しい』


ケイちゃんは、ふふっと笑う。


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