ヌードなアタシ
決断

大粒の雨は滝のように
窓ガラスにぶつかり流れ落ちる。


バス停でドアが開き
乗客が乗り降りするたびに

濡れた傘と衣類からの
湿気を含むじっとりとした空気が
バスの車内に充満していく。


憂鬱な朝…



バスにさえ乗ってしまえば
あとは惰性で
なんとか1日乗り切る事が出来る…

自分自身にそう言い聞かせ

ベリベリッと、音が聞こえるくらい
無理に体を引っ剥がして
アタシは布団から這い出した。



余計な事は考えず
浮かんでは、打ち消し
よぎっては、流して

逃げ込むようにバスに乗った。



黒く垂れた空に
日差しが、さしこまないように

どんなに気持ちを奮い立たせても
憂鬱な事実を変えることは出来ない。


今日1日惰性で乗り切る事なんて
できっこない。

そんな事わかっていたのに。




奈緒と顔を合わせたくなかった。


面と向かって
アタシは何て言えばいいんだろう…


思い浮かぶ言葉は
皮肉…泣き言…軽蔑…


嫌だ!

まるで負け犬。

< 223 / 346 >

この作品をシェア

pagetop