ヌードなアタシ

雨は、いっこうに弱まる気配は無い。

雨粒は勢いよく
コンクリートに打ちつけられ
砕けた水滴は地面から数センチ跳ね上がる。

路面全体が雨に煙り、灰色に霞む。


雨足はだんだん強くなり
バスは容赦なく
学校までの距離を縮めていく。



こんな朝が来ること
奈緒は、もう覚悟していたんだろうな。

打ちのめされたアタシが
泣き腫らした目で登校して…

奈緒は瞬くんにメールするんだ
こまちちゃん可哀想だったよ…
わたし心が痛むよ…って。


もしかしたら…


今日、学校来るのか心配
どうしょう…わたしのせいよ…って
正に今、連絡取り合ってるかも。



あぁ…アタシの中で卑屈な嫉妬心が
細胞分裂の様に猛烈な勢いで
増殖されていく。


目を閉じ、大きく息を吸い込み
深く吐ききる。

……嫌だ!




窓からバス停が見えてきた。

いつもの様に前方ドアへと進む。


ステップを降りて
他の生徒の流れに呑み込まれるように
そのまま歩き出した。


アタシの思考は止まったまま

でも…

胸の奥は、痛くて痛くて
どうしょうも出来ないまま


奈緒のいる教室へと
足を進ませていた。


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