ヌードなアタシ
嫉妬

校門から正面玄関までの中庭を
急ぎ足で突っ切る。

昨日よりも騒ぎは大きくなっていた。

昨日は、ただ遠巻きに噂していた人達が
今日は、呼び止めて声をかけてきたり
中には、わざとぶつかってきて
ニヤニヤと騒ぎ立てる人もいた。


1人でいることが不安になり
急いで教室に逃げ込む。


アタシが教室に入った途端
ざわついていた教室が一瞬静かになった。


『…おはよう』


目が合ったグループに
すがるような気持ちで挨拶した。

そうしなければ、いたたまれないくらい
アタシは疎外感でいっぱいだった。


『桜木さん、おはよう!』


教室の奥から明るい声が響いた。

……?
話したことのない子…

その子はニコニコしながら
アタシのそばに来た。


『同中だった卓己から話きいたよ。
今ね、桜木さんの事話してたんだけど…
あのさぁ…モデル、がんばりなよ。
あたし達、応援するからさ』


数人がアタシを囲み
照れくさそうに励ましてくれる。


『…ありがとう。
とっても…嬉しい。』


緊張で声が震えた。


アタシは、クラスのみんなに
昨日、先生に言われた事を話した。

子供の頃の惨めな自分の事や
育ってきた家庭状況
モデルの仕事をはじめた理由を話した。

自分の気持ちが、ちゃんと伝わるように
一生懸命話した。
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