史上最強お姫様の後宮ライフ覚書
「フューレ。いつも相手は選べと言ってるだろう。侍女など手をつけるだけ無駄だ。何の利用価値もない。」
「うん。ごめん、ごめん。これからは気をつけるよ。」
とりあえず、ランティスはフューレにそう言い聞かせるが、本人はただ嬉しそうに自分の腕に抱きついてくるだけ。
コイツは本当に分かってるんだろうか…、と内心溜め息を吐くと、ランティスはふとこちらを見て固まっている侍女の存在に気づいた。
金の髪に緑の瞳…そう珍しい色ではないが、美人であることは確かなようだ。
その間抜けに空いた口さえ閉じていれば、の話だが。
口を閉じろ。口を。
思わず、その表情に緩む口を覆うようにランティスは右手を口元に持っていく。
そして、それを見たフューレは先ほど以上に目を見開いて、ランティスとリスティーヌを交互に見ることしか出来なかった。