屍の孤島
男の表情が歪む。

それは憤怒か、憎悪か。

何にせよ、負の感情に支配された表情。

「俺は考えた。確か山奥に、使われてない井戸があった筈じゃ…枯れる事なく湧き出とる地下水があるって話は、昔から聞いとった…」

「だからそれを使ったって言うの?昔から井戸水は歌でも…!」

「ああ知っとったよ!」

梨紅の声を遮るように男は叫ぶ。

「『井戸水いなすな、腐れて死ぬる』…じゃけど俺は井戸水をいなす訳じゃない。除虫菊にやるだけじゃ…大丈夫じゃと思ったんじゃ…」

…しかし、それが全ての災厄の引き金だった。

井戸の奥底…地下水には蟲が住み着いていた。

人間の目では見えないほどの、小さな小さな蟲の幼虫が…。

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