屍の孤島
途端に、男の顔から笑みが消える。

その表情はさめたような、絶望にも似た表情だった。

「都会はどうじゃったよ、梨紅ちゃん…陰島は今年の夏、物凄い猛暑でのぅ…」

男は語り出す。

「農作物どころか、生活用水にも困る有り様でのぅ…水不足で、取水制限するように言われたんじゃ。生活用水はそれでもええ。じゃけど、俺ら除虫菊農家は、水をやらん事には菊が枯れてしまう。その事を役場に言うたらどうじゃ」

彼は嘲るように笑った。

「『除虫菊なんてもう廃れてきとるんだから、枯れてもええじゃないか』ときた…はは…除虫菊農家を馬鹿にしやがって…俺ら除虫菊農家に飢え死にせぇ言うんか…」

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