幕末純想恋歌

大坂。近づいてくるモノ。

──文久3年6月──

「大阪ですか?」

「うん。大阪。明後日から行くことになったんだって。」

朝御飯の支度をしていた時、唐突に沖田から大阪行きの話しを聞かされた。


「また突然ですね。何の用事で?」

「さぁ〜…?」

「さぁ〜…?って…。じゃ、誰が行くんですか?」

適当だなぁと思いつつ別のことを聞く。

どうせ、土方あたりが言ってたから聞き流していたをだろう。

最近分かったことだが、沖田は普段かなりちゃらんぽらんしている。

隊務中は凄くしっかりしているのに…


「近藤さんと芹澤さんと一君と山崎さんと僕だったきがする」


「山崎さん?」


知らない名前が出てきた。

「あれ?会ったことない?監察方の人だよ。大阪出身なんだよ、彼。まぁ、彼は忙しいしなぁ。そのうち会えるよ。」


ふぅ〜ん、と思っていて気付いた。


「じゃあ、皆さんご飯いらないんですかっ!?」

「うん、だから言いに来たんだよ?」


「──っ!?もう買ってあるのに!!」


「あらら。無駄はダメだよ〜?」


ニコリと沖田が言う。


………その笑顔が憎たらしい。

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