君の光を想う
頭に、残念な鐘の音が響いた。
男が日時と場所を伝えると素早く去っていった。
少し間を置いてから、柚も校舎へと歩いていく。
「「はー…」」
同じタイミングでの溜め息。
お互い立ち上がり、視線を合わせる。
「あそこで断れないなんて、もー…柚は。何となく分かっていた事だけど、ほら…柚は相手の気持ち考えちゃうでしょ。」
「全くだ…此処で何してんだよ」
「見れば分かるでしょ?心配だから!あんたも同じでしょ?倖谷春樹。んー…やっぱり、見違えちゃう。」
何で、フルネーム…。
目をキュッと細めて、マジマジと顔を近付けてくる様子を避ける様に、顔を背ける。