妖精なアイツ【完全版】
「ありゃりゃ?美希、もしかして…。」


のり姉は身を乗り出して私の顔を覗きこむ。私はただ、頷いた。


「へえー、そうなんだ!もう両思いなの?」


「ううんっ、…片思い。」


だって、妖精は、のり姉の事があったばかりだもん。


私も、そんなに焦って行動するつもりは無いし、今の関係を続けられたら…それでいい。


「ねえ、ひとつ聞いていい?」


「ん?どうぞ?」


「のり姉にとって、ヒカルは、どの位置?」


「んー、弟、かな。」


弟、か…。


妖精がそう聞いたら、怒るだろうか、喜ぶだろうか?


「うまくいくといいね!」


のり姉は笑って言った。


“私は光太くんの気持ちに答えられないから、美希とくっついてくれたら私の事忘れてくれるかなって思ってた。”


と、妖精がのり姉に告白した時の事を思い出した。


きっと、のり姉も、妖精の事を心配しているんだろう。
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