彼女に捧げる新世界



「…………すっぴん」


「…………」




それをここで言う?


いつくるのかわからない相手に毎日綺麗にして待っていろと?




一瞬でテンションが下がった、


が、



「体は平気なのか?」


両方の頬をそっと包まれ、見つめられたら一気に血流が増す。



「へーき………大丈夫だよ」



やっと言葉を発した。



カイトはどこか心配そうに見つめてくれて、少し居心地が悪かった。



「入るぞ、暫くは静養するべきだ…………」



どうした?


彼はこんな気づかいを出来た人間だっただろうか?



驚きながら触れた自分より大きな手はとても暖かい。


会いたかった…………、

触れたかった…………、



嬉しくて恥ずかしくて、涙が出てくる。





一人は不安で、寂しかった。


メールが来たのもずっと前に感じるし、声を聞いたのも久しぶり………。



伸ばされた手の平をギュッと握って、そのまま歩き出す。


リビングまでの距離なんて大したものではないはずなのに、この手を離したくなかった。




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