禁断愛 母と悪魔の子
母愛


(一)


誰かが言っていた。


二十歳になると三十歳になる過程が早く感じる、と。


十代の頃の私はまさかと笑っていたが、二十、二十一となり。更には二十二、二十三となったことで――ああ、やっぱり早いと実感してしまうのだった。


私の場合はもっと特殊に早いと感じられるだろう。


「母さん、こっち」


私の手を引く我が子のおかげで。


私より大きな手らしく、身長すらも私を抜かした子供。


いいや、もはや“子供”ではなく“大人”の部類にキストはなっていた。


実質、四歳のはずが、私と同じ二十代前半に見えるほど。


しかもか、あの人そっくりに育ってしまった。


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