禁断愛 母と悪魔の子


寝る前にお香とはなかなかに乙なものだ。


キストが全部やってくれるらしく、火をつけて、ふうと息をふきかけていた。


「いい匂い」


「だろ。母さん、横になって。先に寝てていいよ。僕、読みかけの本、読んでいるから」


「あんまり遅くまで起きてちゃダメだよ」


「そんなことしないって知っているのは母さんでしょう」


キストの言うとおりだった。


寝ろと言われてすぐに寝付けない私はしばらくベッド上で起きている。


本を読んでも、30分ほどでキストは帰ってくるため、実質、寝るのはほぼ一緒だった。


まるで計ったかのようなタイミング。


「でも、珍しいね。最近は本を読まなかったのに」


「面白いのがあったんだ」


「へえ」


枕に頬をつけた横向きの状態で、陶器の置物から出る煙を見た。


本当にいい匂いだった。


クラクラウトウトとしてしまうほど、匂いにより全ての力を吸い取られているような。


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