禁断愛 母と悪魔の子
異愛
(一)
お風呂場から上がり、寝室に行く。
ぼおぉ、とドライヤーで髪を乾かしていれば、僕がやるとキストが髪を乾かしてくれた。
次は「やって」、となり、今は私がキストの頭を乾かす羽目になる。
同じシャンプーのはずが私よりさらさらの髪はやはり実年齢が作用しているのか、少し羨ましく思う。
お互いにもう寝る体制になったところで――キストがおもむろに「いいものがあるんだ」と、寝室を出た。
戻ってきたキストは陶器の置物とマッチを持っていた。
「お香だよ、セージの葉なんだ」
「へえ」
壷風の陶器の中には確かに葉があったけど。
「これ、セージ?」
どこか違う葉に見えた。
「そうだよ」
気のせいらしい。
私も判別能力が悪くなったのかもしれない。