禁断愛 母と悪魔の子
さて、自分はどうしたものかと部屋の前の窓から見える月を眺めた。
綺麗だった。
金色の夜の目玉はじいとこちらを見ている。
「よっと」
窓を開けて、そこから外に出る。
彼女に見つかったら怒られてしまうと影で笑いながら、しばらく彼は夜風に当たっていた。
気持ちがいい。
昼より夜が好きなのは、静かだったから。
喧騒がなく、自分一人だけの空間をこうして感じることができる。
夜。
藍色の世界で銀髪の彼は眩いばかりだった。
「……、出てきたらどうだ」
虫のざわめきが止まった。
彼が殺意を覚えたのと同時に。
目つきを狼のように鋭くして、屋敷の角を見れば――小さいころから見知った顔がそこにいた。
「キスト」
「呼ぶな、お前に呼ばれると名が汚れる」