禁断愛 母と悪魔の子
あくまでも、と付け足す彼。
「“俺”は彼女を愛しているだけなんだ」
ウィリアムの口調を真似した彼。
もはやハザマに二の句は繋げられなかった。
「去れ、ハザマ」
唇を噛むハザマ。
抗おうにも“血”には逆らえない。
キストに流れる血と自分に流れる血にめり込まれた忠誠心にも。
「……」
立ち上がる。
ハザマのやるべきことは決まっていた。
言われたことをやるまでだと、ハザマは翼を出し飛び立とうとする。
最後に一度、リディアが寝ている寝室を見て。
「……」
また静かになったなと、キストは月を見上げた。
「そろそろ、か」
リディアの意識を完全に浸食し、煙も消えた頃だろうと彼は屋敷に戻る。
羽は出したままだ。
寝室の扉を開ければ、そこにいたのは寝ている彼女。