禁断愛 母と悪魔の子
高ぶった感情に応じるようかのようにキストの背から漆黒の羽が現れた。
大きさ、美しさ、どれをとっても自分には及ばない立派な羽。
悪魔の羽は成人をした意味のものだ。
ウィリアムに似すぎた姿は、ハザマの鼓動を早めた。
汗が出る。
言葉を出そうにも出せない。
かって、ハザマはウィリアムの同志だった。
同志といっても優越は、はっきりとしていた。
自分はウィリアムに忠誠をと誓い今までやってきた言わば騎士だったが。
「……っ」
似すぎたのは姿ではなかった。
その場にひざまずきたいと思わせる誉高さ。
神々しすぎて、顔があげられないんだ。
「キスト……、やめてくれ。ウィリアムのためにも」
「黙れ」
「……」
「それでいい。これからやることには一切口を出させない。――父には感謝しているが、それは僕を産んだことのみだ。
他は憎い、いたら殺している。だって、彼女を愛していいのは僕だけなんだから」