禁断愛 母と悪魔の子


* * *


「ちょっと、キスト……!」


あらがうにもあらがえなかったのは、キストの“荷物”と私は化していたから。


お姫様だっこというのをされて、少し屈辱的な気分になる。


「下ろして……!」


「ダメだよ。まずは綺麗にしなきゃ」


「綺麗にって」


確かに私は血だらけだ。シャワーを浴びたいのは山々だが、今はそんなことをする時じゃないだろう。


「あなた、人を殺して……っ」


何を考えてんのと言う前に口を塞がれた。


キストの両腕は私を抱えて塞がっている。だから必然的に私の口を閉じるのは彼の口となった。


「母さん、あとで話すよ。だから黙ってて。じゃないと――お口、縫っちゃうよ」


「……!」


ぞわぞわと悪寒が走った。


笑顔で本気を語られてしまったんだから、私は黙っているしかない。


キストが曰わくの汚い私が連れてこられたのは、浴室だった。


そこでやっと下ろされ。


「きゃ」


シャワーをいきなり浴びせられた。


< 59 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop