黄昏色に、さようなら。
そして再び、少しばかり長い眠りから目覚めた時、
私は、自分の視力が回復していることを知った。
重い瞼を、ゆっくりと数回瞬かせ、
視界いっぱいに見えている白いものが、部屋の天上なのだとぼんやりと理解し始めた、その時、
「よう、目が覚めたか、寝坊助!」
という、聞き覚えのあるやたらと明るい声と共に、不意に視野を埋め尽くした珍妙なモノに、一瞬、ギョッと目を見張った。
それこそ、目も覚めるような蛍光オレンジに、まだ覚めやらぬ脳細胞が一気に叩き起こされる。
加瀬純一郎。
我が、親愛なる幼なじみ殿に間違いはない。
でも、大きく変わった、というか物凄くヘンテコな個所が一つだけあった。
だから思わず第一声、
「……何、その派手な髪の毛?」と、つぶやいてしまった。
ベッドを覗き込むようにしていた純ちゃんの表情が、心配げな真面目くさったモノから、なんとも言えない脱力したモノに変化して、
ついには、こらえきれないように笑いだしてしまった。