黄昏色に、さようなら。

「え、何? 私、何か変なこと言った?」


「いや。やっぱり、風花なんだと思って。目覚めて最初にそこに関心がいくなんてさすがに風花だ」


語尾が微かに笑っている。


だって、オレンジ頭って、明らかに変でしょうが?


バカにされている気がして、ぶすくれていたら、


「元気になって良かったな」と、意外に優しい声音が降ってきて、


おまけに、ポンポンと頭を叩かれ、


ついでにほっぺをムギュとつかまれて、何だか妙に照れくさくなった私は「う、うん、ありがとう」とだけどうにか呟いた。


なんだか、髪の色だけじゃなくて、いつもの純ちゃんと違う気がする。


こう何というか、いつもより、フレンドリー?


それにしても、なぜ純ちゃんがここに居るのだろう?


たぶんここは病院だと思うけど、普通こういう時は家族が最初に面会に来るものじゃ――。


そこまで考えを巡らせて、肝心なことを聞き忘れていたことに気付いて、ドキリとした。

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