黄昏色に、さようなら。


「ちなみに、俺から目線だと、そっちよりもっと上の方が、いい眺めなんだなこれが」


「なっ!?」


どこまでもスマイル全開のセリフと共に落とされた純ちゃんの視線の先には、胸ぐりが大きく開いたワンピースの隙間から覗く二つの小山が作り出す谷間が、チラリ。


ぎゃーっ!


あたふたと、胸元を抑えようと両手を上げてみるけどやっぱり上手くいかず、


どうしようもなくなった私は、自分の胸元を隠せる唯一の方法、


つまりが、純ちゃんの体に殆ど体当たりで体を寄せた。


結果。


確かに見えなくなった。


見えなくなったけど、これじゃまるで傍から見たら熱い抱擁を交わす恋人同士みたいじゃない。


「うんうん、そう見えるだろうな」


笑いを含んだ声が頭上から降ってきて、


とっさにに取った行動が更に墓穴を掘ったことに気付いたけど、後の祭り。


薄い布越しにやたらと熱く感じる体温が、早くなる鼓動に拍車をかける。


ひーんっ。


何よ、このセクハラ大魔王っぷりはっ。


やっぱりこいつは、絶対、純ちゃんなんかじゃないっ!

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