ラブトラップ
昨日に限ったことじゃない。
確かに、私は最近、美虎のことを避けている。

目が合ったら、背けるし。話しかけられても、極短い言葉ですませてしまう。

「いいんじゃないの?
 それで」

あっけらかんと言い放ったのは、南。

「何よ、ヒトゴトだと思ってぇ~~っ」

とはいえ、今日はこのクレープ、取られるわけにはいかないので、急いで食べながら唇を尖らせる。

恋する女の子は、忙しいのだ。

「あ、いやいや。
 そういう意味じゃなくってさ。
 ほら、今までリンは、稲葉くんと友達関係だったわけじゃない?
 それこそもう、同性同士のような」


ま、そこは否定も出来ないので、黙っておく。
いや、さすが千円もするだけあって、食べ応えがあって美味しいわぁ、クレープの皮に大量に包まれたこの生クリームと、プリン。もちろん、メロンやモモ、苺をはじめとした生フルーツもたっぷり入っていて、損した気分にはならなくってすみそうだわ、これ。

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