ラブトラップ
「それが少し態度が変わったことで、稲葉くんだって、何かを感じ始めたんじゃないの?
 モテモテだったんだから、そのくらい分かるわよ」

斉藤情報によれば、稲葉くんは中学時代もモテモテだったみたい。
ただ、人当たりが良い割には、その告白に一度たりとも応じたことがないので、彼女はずっと居ないみたいなんだけど。

「わ……分かられても嫌なんだけど……」

それはそれで気恥ずかしいし、ねぇ。

「ダメダメ、そんなことじゃ。
 情報を集めたら次のステップって言ったでしょう?
 恋の罠をここぞとばかりにしかけなきゃ。
 ラブトラップ大作戦よ」

「ら……ラブトラップ?」


意気込む南に、私と斉藤くんは、目を丸くせずには居られない。

< 58 / 90 >

この作品をシェア

pagetop