ラブトラップ
「ストップ、ストップ」

エスカレートしてきた私を、斉藤くんが止める。

「それって、俺が知ってる稲葉とはもはや別人だな。
 それより、リンちゃん。その中のどの要素に惚れたわけ?」

素朴な質問にも、答える言葉はちゃんと持っていた。
一つだけ。

「時折見せる、桁違いに優しいところに決まってるじゃん」

「そ、そうなんだ――。あれかな。俗に言うツンデレ?
 それにしても、リンちゃんも変わった趣味してるね」


激しい勢いで私が言い終わった後、呆気にとられている斉藤くんと、我に返って赤面する私を見て、南が爆笑したのは、言うまでも無い――。
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