colorful -カラフル-
そういう家系。俺はそういう家系に生まれて来なかった。それでいいのかとか、そんなこと考えたこともなかった。
「…高校でも、バスケするのか?」
「もちろん。スタメン入りするまでは諦めねえよ。」
篠原は笑った。内心凄く辛いはずなのに、笑った。高校受験するってことは、もう引退をしなければならない訳だから。
「塚越はどこの高校行くんだ?」
「俺?俺はその辺の公立高校だろうな。」
「…そっか。」
期待外れの答えしかなかった。
「俺は翠川高校に行きたいんだ。」
翠川高校。この辺りでは有名な私立高校で、確か大学受験の実績もあったはずだ。それから何より運動部の活躍が有名。
「あそこはスポーツ推薦もあったし、塚越も一緒に目指さないか?」
「はあ?」
素っ頓狂な発言に、俺は開いた口が塞がらない。
「俺はお前のバスケが好きだ。同じチームでプレーしてみたいんだよ。」
真剣な篠原に、開きっぱなしの口はますます塞がらない。俺のバスケを褒められて嫌な気はしないが。
「俺が翠川高校?無理無理。俺がどれだけ馬鹿か知らないだろ?」
「だからスポ薦があるんだって!塚越のバスケなら大丈夫。絶対推薦されるよ。」
スポーツ推薦か。悪い気はしない。でも本当に推薦とれるか自信は全くない。
「大丈夫!一緒に頑張って同じチームでバスケをしようぜ!」
目を輝かせる篠原に、俺は頷くしかなかった。