colorful -カラフル-
出会いはたったそれだけ。それだけの口約束を俺たちは果たしてしまった。篠原は実力で翠川高校に受かってしまったし、俺もスポーツ推薦を取ってしまった。入学式で再会した時は感動すると同時に笑ってしまった。俺たちは一緒に入部届けを出しに行き、これからバスケ三昧だって思っていたところの怪我。
「…何やってんだ、俺。」
夕日は朱く染まっていた。と、その時部屋にノックの音が響いた。浜野さんだと思ったが、だったらノックするはずがない。看護士か?
「…どうぞ。」
ドアを開けて入って来たのは、看護士なんかじゃなかった。
「調子はどう?」
「…先輩?なんで?」
山崎先輩だった。マネージャーがなんで部活さぼってこんなところにいるんだよ。そう思っていると、顔に出ていたらしい。
「あのねえ、マネージャーっていうのは部員のお世話係なんだから。塚越の様子を見に来るのも立派な仕事でしょ?」
得意げに話す先輩を見て、俺は安堵の息をついた。俺はまだ、部員扱いをされていた。退部届けを出した訳じゃないから当たり前なことだけど、それでも安心できた。