colorful -カラフル-
「みんな心配してたよ。」
そう言って部屋に入って来た。先輩はベッドの傍らに立ち、俺を見た。でもその先輩の真っ直ぐな瞳を見ていられなくなり、俺は外に視線を向けた。
「病院にもバスケットゴールあるんじゃない。入院中もしっかり練習するのよ。」
先輩は俺の隣に立ち、笑顔を見せた。外では、翔太が必死にシュートを決めていて、近くのベンチには水口さんが座っていた。ボールのつく音が耳に届いても、それを見ることが出来ない。可哀相な人だと思った。
「…試合のチーム、決まりましたか?」
「塚越。あなたがいないと何も始まらない。そんなこと、塚越が一番よく分かってるでしょ?」
「……。」
何も言えなかった。自惚れる訳にはいかないが、でも俺がいない高一の新人大会のチームなんて想像つかなかった。
「…来てくれて、ありがとうございました。」
「早く治すんだよ。みんな待ってるんだからね。」
みんなが待ってるだなんて思わなかった。だって俺、嫌われてるの自分でも気付いていたから。きっと先輩だって気付いているのに、そういう嘘をつくのは励ますため?わざわざ分かるような嘘つかなくてもいいのに…。
山崎先輩が帰った後の病室は、耳が痛くなるほど静かだった。