黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】




一瞬、何を言われたか分からなかった………というのは冗談で。



『嫌だ。』


だって………



『暁人のために女装とか嫌だ。』


「ちょ…鈴ちゃーん!俺の心がグッサーやで!グッサー!」


『知らない。』


「鈴ちゃーん!」



暁人は涙目だが、冷たい視線を暁人に送る。


だいたい、女装って………私、今男装してるんですけど。



「なぁ頼むよ。クラスのみんなの為だと思って!な!?」


塚原がそう言うので、周りを見ると、みんな子犬のようなつぶらな瞳で私を見ていた。


なんか……この瞳見てたら断れない。





『……はぁ。分かったよ。』


とうとう私は承諾した。


「九条ならそう言ってくれると信じていた!というわけで……これに着替えてくれ。」


塚原から渡された服を持って、私は更衣室に入った。






< 154 / 212 >

この作品をシェア

pagetop