【短編】君に捧げる『物語』
「…ねぇ、これって塚本がモデル?」
悪魔の子のモデルとかいって失礼窮まりないと思うけど、それも承知の上で聞いてみる。
「うん。よく分かったね」
「…あ」
「ん?何?」
…いや、
今一瞬だけ笑った気がしたから。
なんて言えないけど。
勘違いかもしれないし。
「随分と波瀾万丈な人生を歩んできたんですね」
「ええ。流石に国単位じゃあないけどね」
目を瞑って、じゃ~っかんふざけているように見える。
やはり表情が読みとりにくい。
それに、いつも後ろ姿しか見られないから、こんな真正面からまじまじと見るのは少し恥ずかしい。