【短編】君に捧げる『物語』
「塚本、この学年に入って何回席替えあったっけ?」
「ん?5回ぐらいじゃない?」
「…知ってた?全部僕と塚本前後同士だったんだよ」
「そうね」
「僕らって、運命の赤い糸で結ばれてたりしてね」
「随分とロマンチックな思考をお持ちのようね」
でも否定はしないんだ。
はは、ありがとう。
「塚本のメルヘンチックな絵本には負けるけどね」
「あれは表向きよ。本当の私は重度のネガティブだわ」
「さっきの物語でよーく分かったよ」
そう言って、僕はガタリと席を立つ。
もう外は真っ暗だ。
こんな中女の子1人で帰るのは危ないだろう。
とかいって、これにかこつけて家まで送ろうと思った僕は、俗に言うストーカーだろうか?
取り敢えず日誌も持って行かなきゃ。