【短編】君に捧げる『物語』
「それを機に、この仕事も辞めようと思うの」
空に向かって、大きく両手を掲げる塚本。
光合成でもしてるんだろうか。
彼女は少し普通の人間とは違うから、太陽の光をエネルギーに変えることも難なくこなすかもしれない。
…いや、訂正。
彼女も普通の人間だ。
普通に朝起きて、普通にご飯を食べて、普通に学校に来て、普通に「おはよう」と言ってきてくれて。
普通にお喋りをして、普通に笑いあって、普通に勉強をして、たまに授業中居眠りをしたりもして。
普通に悩んで、普通に苦しんで、普通に泣いたりもする、
僕と同じ、普通の人間。
普通の、小さな女の子なんだ。