【短編】君に捧げる『物語』
―――ビリッ
先程まで賞状らしきものだったのが、今では彼女自身の手により本当の只の紙切れとなって、風に舞う。
「…そんなことしても意味なくね?」
「うん。どうせ家の人はこの事を噂で耳に入れると思うし、これは単なるストレス発散」
「成る程。それは正当な理由だ」
風で舞い戻ってきたのか、僕のパンの上にも紙切れが降ってきた。
ほんとに粉々にしたようだ。
直径僅か1cm。
僕は後ろの、フェンスの向こうを眺めてみる。
白くて綺麗な紙切れが、まるで校庭だけに雪が降っているかのように見えた。