時雨の奏でるレクイエム
「砂漠の……

荒野の夜

ひどく疲れて眠りに落ちる

光は無情に

なお美しく

気高く

冷たく光る

我らはどこへ行くのだろう

来た道を戻るすべも知らず

歩き続ける苦しみを

君だけは感じないように

音のない孤独を

君だけは知らずにいるように

それだけを支えに

どこまで歩けばいいのだろうか



せき

きって

駆け寄る君に

なんと声をかければいいのだろうか

流転する星の川

幽明の砂の海

それでも魅せられ行く者ならば

孤高を貫き

振り返らず

心を捨てて行かねばならぬ……」

「旅人の歌だね」

「ああ、今まで出会った全ての旅人はこの歌を歌って送ってくれた」

ラディウスは何を想ってこの歌をうたったのだろうか。
冷たい瞳が揺らめいて、ひどく不安定に感じる。

「なあ、俺達は、何のために旅をしてきたと思う?」

「それは、幻獣王に会いに行く、ため……」

「それは、手段だっただろう。会いに行く、その目的は?」

「それは……」

それは、失くした居場所を見つけるため。

「最初からわかってたはずだ。旅はまだ終わってないんだ」
< 125 / 129 >

この作品をシェア

pagetop