時雨の奏でるレクイエム
「迎えにきたぞよ、お二方」

「っ!!」

ぽん、と肩と叩かれ、ラディウスは文字通り、飛び上がる。

「おや、本当に幻獣になったんじゃの」

人は飛べないからの、とアルミナは口元に笑みを浮かべて言った。

「なんで、知って……あぁ」

思わずそう言ったラディウスは途中で思い直す。
――思念体という奴だったな。
アルミナはこうやって身体から意志をとばしてくる。
範囲内ならこうやって一瞬で目的地に行くことが可能なのだ。
こうやって、リオー砦でもラディウスとクルーエルにコウサのモンスター討伐を依頼していたのだ。
報酬を与えるためには、確認が必要。
その確認は自分ができれば一番良い、ということなのだろう。


クルーエルは二人のやり取りを笑って見ながら思った。
――思念体をとばすのも、普通の人はできないと思うけどね。
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