時雨の奏でるレクイエム
アルミナ・フォン・アシャンティ
「ほい、到着じゃ」

3人がいたのは水晶に囲まれた洞窟のようなところだった。

「う、わあぁ!きれーいっ」

「ここは、一体?」

「水晶の洞窟じゃ。ここに妾の生まれの秘密というのかの?そういう存在がおるんじゃ」

アルミナはいりくんだ洞窟を迷うことなくすいすいと歩く。
天井は高く、巨大な迷路のようだ。

「ところで、千里眼ってなんだ?」

「ふむ。ある一族の俗称のことじゃの。はるか昔、幻獣と交わった一族、幻魔の一族」

幻魔の一族。
ラディウスは昔、帝国に来たときのことを思い出していた。
自らを幻魔の一族と名乗り、ラディウスを迎えにきた、と言った男のことを。
そういえば、そのとき、あの男はなんと言っていただろうか。

「幻魔の一族。幻獣の血を色濃く残す一族のことだね。そっか。同じ存在だったんだ」

「そう。人でも、幻獣でもない。幻魔術を操る魔術師の一族のことじゃ」

「人でも、幻獣でもない?」

「その点では幻獣憑きと似たようなものじゃが、妾達一族は幻獣として生まれ変わったりせぬし、強力な魔法を操ったりできぬ」

「その代わり、幻獣の力を模倣した幻魔術が使えるんだよ。思念体をとばしたりとか、浮遊術とかね」

「戦いには向かないがの。ただし、幻獣に近いだけあって、丈夫で長生きじゃ」

「長生き?」

「子を生しにくいが、一族の長老は500歳を超えていると聞いたことがあるぞよ」

「とはいえ、ミナは皇族だろ?なのに幻魔の一族でもあるのか?」

「母君が、幻魔の一族での。皇族は3代に一度、幻魔の一族の血を入れるらしい」

なるほど、とラディウスは納得した。
皇族が、幻魔の一族から幻獣の力を手にするのと同じように、幻魔の一族も幻獣憑きを取り込んで、血を絶やさないようにしているのだろう。
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