時雨の奏でるレクイエム
「――……っ!!」
強風に煽られ、クルーエルは目を瞑り、手近なものにしがみついた。
するとそれはクルーエルを抱き寄せるようにした。
おそらく風の能力で王都まで二人を送るつもりなのだろう。
風の冷たさとかすかに感じるぬくもりがなんだか嬉しくて、楽しくてつい笑ってしまう。
「わぁっ!!」
それもつかの間、クルーエルは風から放りだされて悲鳴をあげた。
「……っと」
ラディウスは倒れそうになったクルーエルを支えて、ゆっくり地面に下ろした。
クルーエルはラディウスを見上げて、その顔を見つめた。
ラディウスもあれっという顔をして見つめ返す。
それから、ラディウスは眩しそうに目を細め、クルーエルから離れた。
「綺麗な色だな」
「え?」
「瞳。ずっと白銀だと思っていたが」
「……?」
「翳ると仄かに蒼い。凍った月の雫の色だ」
クルーエルはただぽかんとして地面に座り込んでいた。
ラディウスはクルーエルから視線を外し、どこか遠くを険しい目つきで眺めた。
クルーエルはその視線を追って後ろを見る。
少し低い所に、たくさんの家が。
そして、一番奥に白く輝く夢のような城がそびえ立っていた。
強風に煽られ、クルーエルは目を瞑り、手近なものにしがみついた。
するとそれはクルーエルを抱き寄せるようにした。
おそらく風の能力で王都まで二人を送るつもりなのだろう。
風の冷たさとかすかに感じるぬくもりがなんだか嬉しくて、楽しくてつい笑ってしまう。
「わぁっ!!」
それもつかの間、クルーエルは風から放りだされて悲鳴をあげた。
「……っと」
ラディウスは倒れそうになったクルーエルを支えて、ゆっくり地面に下ろした。
クルーエルはラディウスを見上げて、その顔を見つめた。
ラディウスもあれっという顔をして見つめ返す。
それから、ラディウスは眩しそうに目を細め、クルーエルから離れた。
「綺麗な色だな」
「え?」
「瞳。ずっと白銀だと思っていたが」
「……?」
「翳ると仄かに蒼い。凍った月の雫の色だ」
クルーエルはただぽかんとして地面に座り込んでいた。
ラディウスはクルーエルから視線を外し、どこか遠くを険しい目つきで眺めた。
クルーエルはその視線を追って後ろを見る。
少し低い所に、たくさんの家が。
そして、一番奥に白く輝く夢のような城がそびえ立っていた。