Time Limit
「あ~、久しぶりに大笑いした」
「勝手に笑いだしたの翔じゃん・・・・・」
「だからごめんって」
「わかった。許すけど・・・・・・」
「けど?」
「泊まるとこ、早く探そうよ!」
すると翔はフッと軽く笑って、
「そうだな」
と言った。
かなりの時間、都会を歩いていると・・・・・・
「君たち、家に帰らないの?こんな時間なのに・・・・・」
面識もない男の人が話しかけてきた。
ふと腕にしていた時計を見ると、今はもう夜。
どうりで辺りが暗いはず。
「早く帰らないと家の人が心配するよ?」
話しかけてきた男の人は、25才くらいの年の人。
「あたし達、泊まるとこ探しているんです」
「えっ?泊まるとこ?・・・・・家族は?」
「いないんです・・・・・」
翔は嫌な顔をしていたけど、あたしは話を続けた。
「そっか・・・・・・なら俺の家が経営してるホテルに来いよ」
「いいんですか?」
「いいよ、困ってるときはお互い様だしな」
「ありがとうございます!」
あたしは知らなかった・・・・・・
この男の人が陰で、不敵な笑みをこぼしていることを・・・・。