LOVE RAINBOW
「伸一くん…?」
私は恐る恐る話しかけてみた。
「あ…玲羅ちゃん…」
「誰か待ってるの?」
「違うよ。小学校で過ごした毎日を振り返ってた」
その話し方はすごく寂しそうだった。
「そういや玲羅ちゃんと話すの久しぶりだね。何年ぶりかな」
「4年ぶりぐらいかな」
「まだこんなに小さかったのにな」
「伸一くん…初めてあった時から変わらないね」
「ん?そう?」
「そうだよ。誰にでも話せる…私の憧れだよ…」
「玲羅ちゃんもさ、ちょっとイメチェンとかしてみれば?」
「イメチェン?」
「うん。そうすればきっと変われる」
卒業が近いって言うのに、こんな時まで在校生の心配してくれる。
あの時と変わらない…。
「そうだね…考えとく」
「んじゃあ俺行くわ。また明日な」
「うん。また明日」
(やっば! まじで怒られる)
私は急いで家に帰った。
もちろん怒られました。
そして卒業式当日。
私は寂しい気持ちで学校に行った。
そして始まった卒業式。
(もう伸一くんとは会えなくなるのか…)
そして最後のお見送りの時間。
やっぱり伸一くんの周りには女の子がいっぱい。
私はただ遠くから見ているだけ。
周りを見渡してみる。きっとみんな私と同じ気持ちだろうな…。
「…玲羅ちゃん」
突然、私の名前を呼ばれ振り返ってみると、そこには伸一くんがいた。
「伸一くん…卒業おめでとうございます」
「ありがとう…」
「中学でも頑張ってね…」
「玲羅ちゃん…これは最後の別れじゃないよ? だから悲しい顔はやめて…? 中学に行けばまた会える…」
「本当ですか?」
「うん。本当…約束する」
「絶対ですよ?」
「あぁ…絶対」
中学になったらまた会おう…約束をした。
でも、約束は叶わなかった。
伸一くんは中学に入ってから親の転勤で引っ越した。
私の恋は叶わなかった…
あの時…言ったらよかった…
私はその日大泣きした。
* * * * * * * *
それから私は恋をしなくなった。
私が…恋するなんて全然似合わない。
でも…今…あの時と同じ感覚がした。
やっぱり恋なのだろうか…。
「高円寺さん?…高円寺さん!」
私はいきなり名前を呼ばれ我に返った。
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