教室バロック
「 全っ然、謎じゃないから!! 」
――― 学園祭当日
午前の光が 明るく差し込む廊下
窓の下
校庭では一日コックさんが、
野菜を抱えて駆け巡っている
メイド姿の、桜井と比奈
オレが持っていた台本を開き、
見出しだけみてケラケラと笑う
「 え、真木出るんじゃん!
総合プロデュースとか聞いてたよ?! 」
「 " あ!! 坂本だ!! "って言われて
ダッシュで逃げるだけの一瞬な 」
比奈が再度『なにそれ〜』と
笑い声をたてた
「 ダッシュシーンに真木くんを使うとは
真田くんも、目の付け所、いいですねえ 」
そう言う桜井が、したり顔で腕組みし
ウンウンと首を、縦に振る
「 ちょっ!
これ、開演13時って
もしかして劇、午前中やらないの?! 」
「 え、 おう
この辺の道路、午前中混むだろ
照明一日レンタルしてるけど
早い時間に着くか、微妙だし
午後からのが人来るから
途中休憩入れて
二回やる事にしたんだわ 」
「 マージーで〜〜?!
私も午後休みにしてもらえばよかったあ 」
「 比奈村さ〜ん!
調理室行こう〜〜!
クッキー焼けたって〜! 」
クラスの子に呼ばれて
ジダンダを踏む比奈が
慌てて『 は〜い! 』と返事をする
桜井と手を振りあい
オレも衣装の手伝いへと、
自分の教室に向かう事にした