教室バロック
東京駅
メトロから降りて
エスカレーターに乗り、上にあがると
ドーム状の、硝子張り屋根
デカい 丸時計の針が
ちょうど真っ直ぐ、天と地を指す
日本で最大の駅は
まるで階層化した迷路
階段、エスカレーター、改札も
かなりエライ事になっていて
ある程度 間隔を置き
案内の為のブースに、女の人が立っている
この辺は結構、遠足で来た事があるし
京都に行く時も、ここから出発したから
覚えている道を、ただひたすら
人を掻き分ける様に、早足で動く
「 ね ねえ!
皆! ちょっと待って! 」
「 どうした?! 足痛てえか?! 」
バタバタと
皆その場からターンして
膝に手を付き、息を粗げる
比奈の元へと舞い戻った
「 違…、 それ、より、どっち?! 」
「 どっちって? 」
「 東北、方面か
は… 博多とか… どっち行ったのか
わかんないから… 」
「 …そういえばそうだな… 」
那智が、首の汗を拭う
「 うん… あの子、
おじ様もおば様も関東で
ずっと東京だか、ら 田舎が 」
桜井が呟く
「 …ミツコちゃん
前に、家にあったとか言って
紅柑まんじゅうっていうの
山ほど持って来てくれたんだけど…
関係、あるかな… 」
山瀬が急いで、携帯をいじる