教室バロック
―― うれしい笑いがこぼれる
オレが最初にギター弾いた時は
確か、小一で
妹尾の家に遊びに行った時
ヤツの兄ちゃんの部屋に
クラシックギターがあったんだ
『 弾いてみる? 』って言われて
クラシックギターの弦は硬く
握る部分、ネックも太かったけど
楽譜もある程度読めたから
コードっていうのを教わって
その日のうちに、
何曲か弾ける様になった
『 ピアノか何かやってるんだね 』
そう言われて
なんだこの人エスパーか?!って思った
聞いてみれば、理由はカンタンで
ひとつの "フレット"
弦を押さえる方の木に線が引かれてて、
区切りになってる場所
Fっていう、人差し指とか小指とか
スゲエ離れた場所に、
全部指を置かなきゃいけないヤツがあって
" 最初、まずそこで届かなくて
つまづくんだ
すごく指、開くね "って、
他人からものすごく褒められて
嬉しかった
塾で知り合った他校のヤツらと
中学でバンドを組んで
初めてオリジナルを作った時は
『俺ら天才じゃね?!』とか
ヨロコビの極みになって
ホントに、嬉しくて
かなり世界は、自分達を中心に回ってた
――― 今思えば
初めて自分の意志で、興味を持って
手を出したのは
ギターだけかもしれない