教室バロック





―― うれしい笑いがこぼれる



オレが最初にギター弾いた時は
確か、小一で

妹尾の家に遊びに行った時
ヤツの兄ちゃんの部屋に
クラシックギターがあったんだ



『 弾いてみる? 』って言われて

クラシックギターの弦は硬く
握る部分、ネックも太かったけど

楽譜もある程度読めたから
コードっていうのを教わって
その日のうちに、
何曲か弾ける様になった



『 ピアノか何かやってるんだね 』

そう言われて

なんだこの人エスパーか?!って思った




聞いてみれば、理由はカンタンで


ひとつの "フレット"

弦を押さえる方の木に線が引かれてて、
区切りになってる場所



Fっていう、人差し指とか小指とか
スゲエ離れた場所に、
全部指を置かなきゃいけないヤツがあって


" 最初、まずそこで届かなくて
つまづくんだ
すごく指、開くね "って、

他人からものすごく褒められて
嬉しかった




塾で知り合った他校のヤツらと
中学でバンドを組んで

初めてオリジナルを作った時は
『俺ら天才じゃね?!』とか
ヨロコビの極みになって
ホントに、嬉しくて


かなり世界は、自分達を中心に回ってた






――― 今思えば


初めて自分の意志で、興味を持って
手を出したのは


ギターだけかもしれない







< 246 / 287 >

この作品をシェア

pagetop