gently〜時間をおいかけて〜
結婚して、航を産んで…あたしの身に、一体何があったのだろうか?

航からの言葉を待っていたら、
「あんたと父親の仲が悪くなった」

「えっ…?」

驚きのあまり、あたしの声はかすれていた。

悪くなったって、あたしとその人が?

「俺が物心ついた時には父親は自分で会社を立ちあげて、仕事で手がいっぱいになってた。

家に父親がいないのは当たり前で、急な仕事で約束をドタキャンされるのも当たり前だった。

たまに父親が家に帰ってきても顔をあわせることもなければ、会話は1つもなかった。

誰が見ても、すっかり冷え切った家庭だ」

淡々とした口調で話す航だけど、どこか寂しそうだった。

「いつの間にかあんたは離婚の準備を勝手にしているし、父親もそんなあんたに気づいているのか気づいていないのか仕事漬けの日々を送っている」

航が言った。
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