gently〜時間をおいかけて〜

gently6.5〜航目線〜

何で父親がいるのだろうか?

父親は、今日も仕事のはずだ。

母親や俺に構ってる時間なんてないと言うくらいに、父親はいつも仕事をしている。

俺たちと過ごす時間よりも、父親はいつも仕事を優先にしていた。

そんな父親が、何故ここにいるのだろうか?

母親の病室で、母親が眠っているベッドの横に何故いるのだろうか?

信じられない事実に戸惑いながらも、俺の躰は自然に病室へと入っていた。

「――航…」

俺の突然の登場に、父親は驚いて目を見開いた。

「タケシから、さ…母さんが倒れたって言う連絡がきたんだ」

うっかり、“莢”と呼びそうになってしまった。
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