gently〜時間をおいかけて〜
「――でも、さ…」

ポツリと呟くように言ったあたしに、航は伏せていたまつ毛をあげた。

「過去を変えちゃったら、航は消えちゃうんじゃない?」

過去を変えたら、変えた分だけ未来に影響を及ぼす…と、何かの映画で見たことがあった。

あたしと航の父親――あたしの夫になる人との関係を阻止したら、航は未来からいなくなってしまうのではないだろうか。

「構わない」

航がとても寂しそうに笑った。

口ではそう言っているけれど、本当は消えたくないのではないだろうか?

「それでどうにかなるって言うなら、俺はいなくなっても構わない。

忘れられたことになっても構わない」

そう言った航は、ニッと八重歯を見せた。
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