gently〜時間をおいかけて〜
「小さいんだな」

ワンルームの小さな部屋は、あたしが1人で住んでいる場所である。

住むところがないと言った航のために、ここへ連れてきたところだ。

正直言って、男をこの部屋に連れてきたのは初めてだった。

「経済力のない大学生が住むところなんて、こんなものよ」

あたしは言った。

大学に入学したのと同時に実家を出て、この小さな部屋に1人で住んでいる。

「曰わくつきだけど、家賃は3万円。

結構安いでしょ?」

そう言ったあたしに、
「まあ」

航は返事をした。

あたしはそんな航に視線を向けた後、ベランダの窓を開けた。

「おっ、ラッキー」

開けた瞬間、あたしは声を出した。
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