gently〜時間をおいかけて〜
そっと、そのぬくもりに手を回した。

そしたら、航も抱きしめ返してくれた。

――航が好き…。

ぬくもりの中、心の中で愛の言葉を言った。

時間は、静かに穏やかに流れている。

でもあたしたちが抱きあっていた時間は、止まっていたような気がする。

本当に、時間が止まってたらいいのに。

そうなったら、あたしたちはもっといられるのに。

「――莢…」

耳元でささやかれるのは、あたしの名前だ。

「――好きだよ…」

あたしの耳で、静かに愛の言葉が響いた。
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