いつかのMerry Xmas
会場に入ると、リハの準備は着々と進んでいた。
私は、泣きそうな顔で爪をかんでいるさやちゃんにマイクを渡す。

さやちゃんはとびつかんばかりにそれをひったくって、泣きそうな顔のまま私に聞いてきた。

「一曲目――。
 早瀬さんにコーラスお願いしてたんです。リハで合わせたいのに――。
 まだ、着てないんですよね?
 どうしちゃったのかしら――」

「ぶっつけ本番でもいけると思ってんじゃない?
 アイツ、自意識過剰だから」

そりゃ、うちのサークルの中じゃ、歌もギターもドラム緒キーボードも、何をやらせても飛びぬけて上手いけど。

「そうじゃなくてっ。
 私は早瀬さんと一緒に練習したいだけなんですっ」

さやちゃんはそう言い捨てるとぷいと出て行ってしまった。

――私に八つ当たられても……ちょっと困るんですが。
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