いつかのMerry Xmas
いっちいちイライラするんですけど。

わかんない。
こんな男がモテる理由が分からない。

「で?
 何?
 お忙しいレイサマの伝言、私が承りましょうか?」

苛々を隠せずにそう言うだけで、「え? レイサマと喋ってるの?」なんていう視線をそこらから感じてびっくりした。

「いや、別に。
 もうすぐ出かけるからよろしくとだけ言っといて」

「案外律儀なんだ。
 別にそんなの気にしなくていいじゃん。遅刻の常連のくせに」

途端、再びイチローは深いため息をついてみせる。

「お前、本当に覚えてないんだな。
 ――こんなことなら、もっとじっくり味わえば良かった。急いでプレーした自分が馬鹿みたい――」

ぼやきの意味が分からなかったが、これ以上付き合う気もおきなくて、私は電話を切る。
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